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【取材日記】vol.8 シオザワ・塩澤好久さん

投稿日時:2006/08/18(金) 15:57rss

 取材日記は「月刊 経営者会報」編集部員が、おもに中小企業の経営者の方への取材を通じて、感銘を受けたこと、ユニークな取り組みだと感じたことなどを綴るコーナーです。
 今回は、経営者会報8月号の特集「会社の未来を託す人づくり」で取材させていただいた、シオザワの塩澤好久さんにまつわるエピソードをご紹介します。

     ◇     ◇     ◇
 
東京都中央区日本橋に本社を構えるシオザワは、紙卸業を営み、来年で創業70周年という老舗です。

しおざわ
 
 三代目の塩澤好久さんは、大変教育熱心な方です。先代でいまは亡き好一氏にもなんどか取材させていただいたことがありますが、そのお父上も同様に教育熱心な方でした。
 
 会社を継ぐころ、塩澤さんは、社員の人たちが、お元気だった先代に頼り切りで、自ら考えようとしない傾向があることに危機感を抱いて、抜本的な改革に着手したそうです。
 
 たとえば、社長塾。不定期に社員(有志)を集めて、さまざまな勉強会を開いて、社員の意識が向上するのを待ちました。
 
 一方で、成績の上がらない営業社員には、毎月一回、「ワーストの会」と名付けた社長への報告の場を設け、そこではいっさい叱責はせず、「で、来月はどんなことに取り組むかな」と、行動を変えるきっかけを与え続けました。そのうちに、ある社員が、「(担当エリアである)千葉県内の印刷業者をすべて回る」と宣言して、それを成し遂げてしまった。この社員の方は、現在なんと部長に就き、大変ご活躍されているとのこと。
 
 自分で気づき、行動を変えることさえできれば、誰だって、きっと成果が上がるはずだ、という信念を強くした出来事だったそうです。
 
 そうした改革・指導が実を結び、同社は機密文書の廃棄・リサイクルや段ボール家具など、ユニークで時代を先取りした取り組みにも成功しています。
 
 塩澤さんが素晴らしいのは、どういった取り組みでも明るく着手してこられたことです。
 
 最近でもこんな“改革”が……。
 毎週一度の朝礼で、社員の方がスピーチをするのが、持ち回りになっていたのを、当日、その場でくじを引き、当たりを引いてしまった人が話すやり方に変えたそうです。持ち回りだと準備できますが、いつも仕事について考えていないと、とっさには話ができません。
 
 テーマは3か月くらいごとで変えて、常時3つか4つ、これもくじをひいて何について話をするのか決めるそうです。社員に高いレベルを求めつつ、ゲーム感覚で楽しくやる。だからこそ長続きするのかもしれません。
 
 塩澤さんは、どんな取り組みに着手する際も、「これをやることで人は育つのか」をまず考えるそうです。私の知る限り、ここまで熱心に、そして楽しそうに社員教育をされる社長さんは滅多におられません。本当に素晴らしい。
 
 きっと塩澤さんは、よくいわれる「2・6・2」の法則は、たぶん信じていないと思います。そのことで、社員さんも社長の期待に応えようと頑張る、そんな相互の信頼感が社内に満ちあふれた会社でした。

     ◇     ◇     ◇ 

■株式会社シオザワ http://www.shiozawa.co.jp/http://www.shiozawa.co.jp/
■関連記事が「月刊 経営者会報」8月号に掲載されています

(編集部・酒井俊宏)




けいかい
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