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【取材日記】vol.6 長島精工社長・長島善之さん
取材日記は「月刊 経営者会報」編集部員が、おもに中小企業の経営者の方への取材を通じて、感銘を受けたこと、ユニークな取り組みだと感じたことなどを綴るコーナーです。
今回は、経営者会報5月号の巻頭カラー記事「異能経営者がゆく!」で取材させていただいた、長島精工社長・長島善之さんにまつわるエピソードをご紹介します。
◇ ◇ ◇
長島精工さんは、精密金型の製造には欠かせない、研削盤という工作機械のメーカーで、日本ではオンリーワンの存在です。
研削盤とはなにか、ご存じない方のために経営者会報の記事から一部抜粋しましょう。
「……研削盤は金属など工作物の表面を平らにする機械で、加工部分は、工作物を乗せて前後・左右・上下に移動するテーブルと、研削するための砥石車とで構成される。テーブルがいかに円滑に動くかが動作精度を決定するが、それはテーブルの土台となる面とテーブルとの接触面の仕上げにかかっている。
長島精工では、双方の接触面に微細な凹凸を施し、山の部分がそれぞれ完全に揃うように加工している。こうすることで谷の部分に油が入り込み、スムースな動作が可能になる。凹凸をつくり、山を揃える工程は「三面摺り」といい、「キサゲ」というノミのような工具を使って技術者が手作業で行なう。この方法を採っている企業は国内では同社だけ。職人の手作業が、精密金型という日本の最先端技術を支えているのである……」
長島社長は、優秀な技能工を育成し、この技術を社を挙げて磨き続けています。43名の社員さんのうち、一級技能士が14名、二級技能士が19名。現場の人はほとんど有資格者で占められています。ここまで有資格者比率の高い企業は稀です。
同社では、できあがった研削盤には、社員さんの名前を記入したネームプレートを取り付けるそうです(こういうものです↓)。
それにはこんなエピソードがありました。
かつて三菱重工に勤めていた長島さんは、そのころ、ホンダの鈴鹿工場に納める工作機械をつくったとき、型番の表示プレートに、こっそりご自分のイニシャル「N・Y」を彫っておいたそうです。
研削盤の製造に本格的に取り組む前は、工作機械の修理もしていた長島さんは、偶然、ホンダの鈴鹿工場に修理におもむいたとき、その機械が20年近く経つのに現役で動いているのを見たそうです。イニシャルでわかったといいます。
「この機械、何年経っても調子がいいんだよ」
と先方の担当者に言われて、思わず感動して涙が出たそうです。
そのことがあって、同社では、写真のような、ネームプレートを取り付けるようにしたのでした。
長島さんはこうおっしゃいます。
「3000円の清水焼でも作者の銘を入れるのに、何千万円もして10年保証までしている機械に名前入れないほうがおかしい。若い連中には、『もしうちが潰れても、君らが作った機械だという証は機械が現役でいるかぎり残る。だから精魂込めて作りなさい』って言っています」
どうして長島精工さんでは熟練の技術者をどんどん育てることができるのか、高い技術レベルを保ち続けられるのか──。モノづくりにかけた、長島さんのこの姿勢が、すべての源なのではないかと思いました。
◇ ◇ ◇
■長島精工株式会社 http://www.nagashima-seiko.co.jp/
■関連記事が「月刊 経営者会報」5月号に掲載されています
*「月刊 経営者会報」は中小企業経営者の皆様のためのブレーンです。詳細・ご購読に関しては http://www.njh.co.jp/njs/keikai.htm をご参照ください。
今回は、経営者会報5月号の巻頭カラー記事「異能経営者がゆく!」で取材させていただいた、長島精工社長・長島善之さんにまつわるエピソードをご紹介します。
◇ ◇ ◇
長島精工さんは、精密金型の製造には欠かせない、研削盤という工作機械のメーカーで、日本ではオンリーワンの存在です。
研削盤とはなにか、ご存じない方のために経営者会報の記事から一部抜粋しましょう。
「……研削盤は金属など工作物の表面を平らにする機械で、加工部分は、工作物を乗せて前後・左右・上下に移動するテーブルと、研削するための砥石車とで構成される。テーブルがいかに円滑に動くかが動作精度を決定するが、それはテーブルの土台となる面とテーブルとの接触面の仕上げにかかっている。
長島精工では、双方の接触面に微細な凹凸を施し、山の部分がそれぞれ完全に揃うように加工している。こうすることで谷の部分に油が入り込み、スムースな動作が可能になる。凹凸をつくり、山を揃える工程は「三面摺り」といい、「キサゲ」というノミのような工具を使って技術者が手作業で行なう。この方法を採っている企業は国内では同社だけ。職人の手作業が、精密金型という日本の最先端技術を支えているのである……」
長島社長は、優秀な技能工を育成し、この技術を社を挙げて磨き続けています。43名の社員さんのうち、一級技能士が14名、二級技能士が19名。現場の人はほとんど有資格者で占められています。ここまで有資格者比率の高い企業は稀です。
同社では、できあがった研削盤には、社員さんの名前を記入したネームプレートを取り付けるそうです(こういうものです↓)。
それにはこんなエピソードがありました。
かつて三菱重工に勤めていた長島さんは、そのころ、ホンダの鈴鹿工場に納める工作機械をつくったとき、型番の表示プレートに、こっそりご自分のイニシャル「N・Y」を彫っておいたそうです。
研削盤の製造に本格的に取り組む前は、工作機械の修理もしていた長島さんは、偶然、ホンダの鈴鹿工場に修理におもむいたとき、その機械が20年近く経つのに現役で動いているのを見たそうです。イニシャルでわかったといいます。
「この機械、何年経っても調子がいいんだよ」
と先方の担当者に言われて、思わず感動して涙が出たそうです。
そのことがあって、同社では、写真のような、ネームプレートを取り付けるようにしたのでした。
長島さんはこうおっしゃいます。
「3000円の清水焼でも作者の銘を入れるのに、何千万円もして10年保証までしている機械に名前入れないほうがおかしい。若い連中には、『もしうちが潰れても、君らが作った機械だという証は機械が現役でいるかぎり残る。だから精魂込めて作りなさい』って言っています」
どうして長島精工さんでは熟練の技術者をどんどん育てることができるのか、高い技術レベルを保ち続けられるのか──。モノづくりにかけた、長島さんのこの姿勢が、すべての源なのではないかと思いました。
◇ ◇ ◇
■長島精工株式会社 http://www.nagashima-seiko.co.jp/
■関連記事が「月刊 経営者会報」5月号に掲載されています
(編集部・酒井俊宏)
*「月刊 経営者会報」は中小企業経営者の皆様のためのブレーンです。詳細・ご購読に関しては http://www.njh.co.jp/njs/keikai.htm をご参照ください。
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