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編集部からの『お題』や、明大生と経営者の『一問百答』など、記事のテーマや大切なお知らせをお届けします!
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2006年04月19日(水)更新
【取材日記】vol.4 近代ホーム社長・松本祐さん
◇ ◇ ◇
今回は、経営者会報4月号の特集記事「社員をイキイキ動かす経営」で取材させていただいた、横浜市の近代ホーム社長・松本祐(ゆたか)さんにまつわるエピソードをご紹介します。
近代ホームさんは、夏涼しく冬暖かい、高気密・高断熱のフレーム&パネル工法による注文住宅メーカー。住宅そのものの質の高さに加え、社員さんの対応の素晴らしさで躍進しています。大手メーカーが社員教育に関して視察に訪れたり、そうした企業から、松本社長ご自身も講演に招かれるそうです。
同社の大きな特徴がITの活用です。何度か取材をさせていただいて、いまでは直接社長さんにメールで取材を依頼できるようになりましたが、以前、最初に取材を申し入れたとき、たしか、経理のパートのかたが、電話を保留して社長さんのスケジュールを確認され、「ああ、×日だったら空いてます、大丈夫だと思います」と即答されたので驚きました。
これはすべてをウェブで管理し、誰でも社長のスケジュールがひと目でわかるようにし、空いていたら別にアポを入れてもかまわない、と指示しているからだそうです。松本さんはこうおっしゃっています。
「社長が例外、では駄目。社長がまずシステムの信奉者にならないと、社員が信奉してくれるわけはないでしょう」
同社ではこのようにITを徹底的に活用しており、インターネットの黎明期から自社でシステムを構築してきました。見積もりから発注まですべて一元で管理し、お客さんにお見せする情報も同じ。そのためか、クレームも滅多に出ないそうです。
社員の方々が情報を共有しているため、どの社員さんも顧客に対応することができる。営業マンは置かないそうですが、そのぶん、全社員が営業マンとしての機能を果たしているといっていいでしょう。
もちろん、メールも最大限活用しておられます。
いま新入社員の方々は、1年間は、毎日、松本さんにメールで日報を送ることが義務づけられており、松本さんも、その都度親身なアドバイスを送られるといいます。
もう10年ほど、松本さんは「電子会議室」と名付けて、同報メールを社員の方々に送っておられます。ここでは、稀にあったクレームなどで、社長の松本さんがどう対応しているか、「お客さまにやりこめられて困っているところまで全部見せる」そうです。
しかも松本さんは、自社に非がないと判断すれば、お客さんに安直に謝ったりせず、「お客さまにも問題はなかったでしょうか」と譲らない。「なあなあで謝罪すること自体、お客さまに対して失礼なこと」と考えているからだそうです。
ご自身を“例外的な存在”にせず、しかも、どのようにして仕事に対峙しているか社員に見せる。その松本さんの姿は、他の経営者の方々にとっても、大変参考になるのではないかと思います。
◇ ◇ ◇
■近代ホーム株式会社 http://www.100kj.co.jp/
■関連記事が「月刊 経営者会報」4月号に掲載されています。
(編集部・酒井俊宏)
*「月刊 経営者会報」は中小企業経営者の皆様のためのブレーンです。詳細・ご購読に関しては http://www.njh.co.jp/njs/keikai.htm をご参照ください。
2006年04月07日(金)更新
【取材日記】vol.3 湖北精工社長・小川彰三さん
今回は、以前、経営者会報1月号の特集記事「社長の“熱き思い”を社員に伝える」で取材させていただいた、長浜市の湖北精工社長・小川彰三さんにまつわるエピソードをご紹介します。
湖北精工さんは、知る人ぞ知る、凄い会社です。
産業機械をおもに手がけておられて、メインの曲面印刷機の国内シェアはなんと100%。すべてがオーダーメイドだそうです。
これは、カップラーメンやアイスクリームなどの容器に高速で印刷する機械です(下の写真がそうです)。
海外のメーカーの機械の修理なども手がけることで取引先の信頼を獲得しているうちに、いつの間にかそうなったと小川社長は謙遜されます。
同社の技術力の高さは、人材レベルの高さと言い換えてもよいでしょう。
小川社長は、社員教育に30年以上も力を入れてこられたそうです。
それも半端なものではありません。朝礼など業務に直結する場でメッセージを送るだけでなく、社員さんの誕生日には、社長室に招いてプレゼントを渡し、日頃の努力を労いながら、2時間近くも話をする。これも30年近く続けているそうです。
社員の方は150名おられますから、ほとんど毎日、誕生日を祝っている計算です。その労力を考えたら、誰にでもできることではないと思います。
その小川社長は、取引先からかなり厳しい期間での機械納入を依頼され、社員の方々が「社長、心配しないでください、絶対間に合わせますから」と、休日返上で、無理を重ねて頑張った話をされるとき、「あいつら、本当に頑張ってくれまして……」と、途中で声が詰まり、目を潤ませておられました。
思わず私ももらい泣き。経営という仕事の素晴らしさの一端を知ることができた気がしています。大企業にない、中小企業の強みとは、このような社長と社員の相互の信頼感にこそあるのではないでしょうか。
こういう社長さんや会社が、日本を支えている──。そんな思いで、取材地の長浜市をあとにしたのでした。
■湖北精工株式会社 http://www.kohokuseiko.co.jp/
(編集部・酒井俊宏)
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2006年03月29日(水)更新
【取材日記】vol.2 日進乳業社長・水野光さん
取材日記は「月刊 経営者会報」編集部員が、おもに中小企業の経営者の方への取材を通じて、感銘を受けたこと、ユニークな取り組みだと感じたことなどを綴るコーナーです。
今回は、経営者会報4月号の「シリーズ告白」という連載記事で取材をさせていただいた、アイスクリームやお菓子をOEM生産し、ナショナルブランドを支えておられる日進乳業・水野光(こう)社長にまつわるエピソードをご紹介します。
「シリーズ告白」は、窮地に陥った社長さんが、そこからどのようにしてリカバリーされたかを描き、読者の方々に共感を抱いていただきつつ、参考にしてもらうという記事です。
水野社長が先代の跡を継がれて社長に就いた翌年(2000年)の9月、東海地方を集中豪雨が襲いました。日進乳業さんの本社のある愛知県師勝町も被害を受け、同社の工場は、床上浸水で操業停止に。1億円を超える損害を受けたそうです。
しかし、水野社長は「被災によって、逆に社内の結束が高まり、同時に社員の皆の素晴らしさを実感した」とおっしゃっていました。
全設備を殺菌消毒して、基盤が壊れた機械は部品を交換しなくてはならず、復興まで2か月かかるといわれた作業を、同社の社員の皆さんは、必死に頑張り、なんと2週間ほどで、全作業を終えてしまったそうです。
しかも、社長の指示を待たず、社員の方々が自発的に段取りを決め、役割分担をしたといいます。力を合わせ、必死に頑張る社員さんの姿を見て、水野社長は、ご自身が思っていたより、ずっと優秀な社員さんであると感じ、感激するだけでなく申し訳なく思ったそうです。
同社の売上は当時の20億円を大きく上回り29億円に。水野社長は、こうおっしゃいます。
「あのとき、会社の真の底力を見極めることができたことが大きい。会社の力って結局、社員の力ですから」
社長さんが社員の方々を信頼し、そのことで社員の方々も社長さんを信頼する。
ピンチこそチャンス、とはよく言われることですが、同社はおそらく、今後も、仮に危機があったとしても、必ず糧に変えていかれるのではないかと思いました。
■日進乳業株式会社 http://www.nisshinnyugyo.co.jp/
(編集部・酒井俊宏)
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2006年03月24日(金)更新
【取材日記】vol.1 アオキ社長・青木豊彦さん
取材日記は「月刊 経営者会報」編集部員が、おもに中小企業の経営者の方への取材を通じて、感銘を受けたこと、ユニークな取り組みだと感じたことなどを綴るコーナーです。
今回は、経営者会報3月号の「異能経営者がゆく!」という連載記事で取材をさせていただいた東大阪市の金型・金属加工会社・アオキの青木豊彦社長にまつわるエピソードをご紹介します。
青木社長は、東大阪の人工衛星プロジェクトの発案者でもあり、同社はボーイング社の認定工場としても有名です。
巻頭カラーの記事で、最初の見開きは、社員さんで社長を囲むケースが多いのですが、たいてい遠慮して、皆さん写りたがらないことがけっこうあります。でも今回は違いました。
工場で撮らせていただいたのですが、社員の方が何が始まるのかと作業の手を止め、好奇心むきだしに「俺も」「俺も」……と入ってきてしまい、通常は4、5人で撮らせていただくのに、倍の人数に。
構図的に社長さんが小さくなってしまうので、一瞬慌てましたが、これはこれでとても楽しそうないい絵だったのでそのまま撮影に入りました。
写真を改めて眺めてみると、アオキという会社の楽しい雰囲気が伝わる絵になりました。
しかも、作業服が一番汚れている人が工場長さんだったのです。そのことに、この会社の強さを感じました。
業種によっては汚れていること自体問題なケースもあるでしょうが、同社の場合、金型、金属部品加工が中心。
工場長が率先して機械油まみれになっているのですから、当然部下の方々もならうのでしょう。「みんな、わしがどこでなにしていようと手を抜かない。本当によくやってくれる」という青木社長の言葉に嘘はない、と思いました。
■株式会社アオキ http://www.aoki-maido.co.jp/gijutu.html
(編集部・酒井俊宏)
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